心臓病が見つかるきっかけと症状について、
院長からの健康アドバイス

高血圧

こんな症状がある方はご注意ください

・頭痛
・めまい、ふらつき
・顔のほてり
・むくみ
・動悸
・血のつながった親族に高血圧や脳卒中の人が多い  など

高血圧は症状のない方がほとんどです。しかし、高い血圧が続くと、心臓や全身の血管(動脈)に大きなダメージを与えてしまい、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全、大動脈瘤、眼底出血、認知症など、命や生活にかかわる病気を引き起こしてしまいます。高血圧が、サイレント・キラー(静かな殺し屋)と呼ばれる理由です。

脳卒中や心筋梗塞の予防のために、今から対策を

高血圧の初回の診療では、左右の腕の血圧の測定を行い、問診や身体診察・検査によって、高血圧の原因を調べ、重症度(将来、脳卒中や心筋梗塞を発症するリスク)を判断します。動脈硬化の危険因子や、高血圧による臓器障害についても評価していきます。

高血圧の診断基準は、「上の血圧140 mmHg以上、または下の血圧90mmHg以上」とされています。しかし、「症状がないからいいだろう」、「薬を飲みだしたらやめられないのでしょう?」と医療機関にかかっていない方も少なくないようです。私は、これらの疑問にお答えしていくなかで、なぜ血圧の治療をしないといけないのかを理解していただくことが大切だと考えています。


当院では、高血圧の方について、次のことを一人一人判断するように心がけています。そのため、初診の際には、時間を少し長くお取りして診察、検査、説明をさせていただく場合がございます。


 ◎なぜ血圧が上がっているのか(ホルモンの異常や環境上の要因がないか?)

 ◎将来に心血管病を発症するリスク(危険度)が高いかどうか

 ◎全身の動脈硬化がどの程度進んでいるのか

 ◎どこまで血圧を下げた方がよいか

  (40歳代の方と80歳代の方では目標が違ってきます)


治療においては、以下の点を重視しております。


 ◎塩分の制限や運動など生活習慣の指導

 ◎家庭での血圧測定に基づいた治療

 ◎1日1回飲むお薬を基本としながら、血圧の変動を考慮して調節する

 ◎心筋梗塞や脳卒中、腎臓病の予防を目標とした総合的治療

  (血圧だけでなく、脂質や血糖の治療、運動や禁煙も大切です)


血圧が非常に高い(上の血圧180mmHg以上または下の血圧110mmHg以上)など高リスク群と判断した場合は、ただちに薬による治療を開始します。一方、軽度の高血圧で合併症のない方の場合、まず生活習慣の改善と家庭血圧の測定を行っていただき、約1~3か月後の血圧をみて、薬を投与するかどうか判断することを原則としています。

胸が痛い

こんな症状がある方はご注意ください

・冷や汗を伴うような胸の痛みが急に起こった。
・胸がしめつけられる。胸全体が圧迫される。
・階段を上がるときなど、動いた時に胸の違和感がある。
・みぞおちのあたりが痛む。
・あごから左腕にかけて痛みが広がる。
・明け方に胸苦しくて目が覚める。
・胸から背中へ痛みが移動した。

急性心筋梗塞など緊急を要する病気の場合があります。

胸痛の原因には、急性心筋梗塞など緊急を要する病気があるので、急に起こった胸痛が20分以上続く場合には、すぐに医療機関を受診することが大切です。病歴・診察結果と心電図、胸部X線、血液検査、超音波検査などをもとに重大な病気でないかを判断します。


心臓を栄養する冠動脈の動脈硬化によって起こる狭心症は、放っておくと心筋梗塞や突然死につながります。狭心症の確定診断は、高次病院に入院して心臓カテーテル検査によってなされますが、緊急性がない場合は、外来で運動負荷心電図や冠動脈CTなどの検査をまず行い、心臓カテーテル検査が必要かどうかを判断します。狭心症心筋梗塞と診断された場合、薬物治療、カテーテル治療(冠動脈ステント留置)、心臓バイパス手術のいずれかを、病状に応じて選択します。


胸の痛みがいつ頃から始まったか、どのような時に起こるのか(夜寝ている時など)、どのような性質か(押されるような、チクチクするなど)、痛みが拡散したり移動したりするのか、どのくらいの時間続くのか、頻度はどうか、などの自覚症状が、診断にはとても重要です。診療のなかで、心臓弁膜症や不整脈、大動脈の病気、肺の病気、胃食道逆流症、胆嚢や膵臓の病気、貧血、肋間神経痛、帯状疱疹、心臓神経症など様々な原因を区別していきます。

息切れ

こんな症状がある方はご注意ください

・坂道や階段を昇り降りするときに息切れしやすくなった。
・息切れと一緒に胸の圧迫感がある。
・周りの人から、動く時に呼吸が速くて苦しそうだと言われる。
・呼吸がヒューヒュー、ゼイゼイといっている。
・手足の冷えやむくみを伴う。
・長時間の旅行(飛行機、バスなど)の後、急に息苦しくなった。
・仰向けに寝ていると息苦しくて、座った方が楽である。
・夜寝ていると息苦しくなって目が覚める。
・ピンク色の痰や血痰が出る。
・日中の尿の量が減って、夜間の尿が増えた。

心不全や肺塞栓症の可能性も。

息切れや息苦しさは、心臓病、肺の病気、過呼吸症候群、神経の病気、肥満、貧血 など様々な原因で生じます。特に重大なものに、心不全肺塞栓症があり、どちらも命を落とすことがあります。


心不全は、血液を受け取って肺や全身に血液を送り出す、心臓のポンプの働きが低下した状態で、あらゆる心臓の病気が進行すると心不全に陥ります。従って、心不全と診断しお薬で適切な治療を行うとともに、原因を心臓超音波検査などで正しく診断することが大切です。また、薬の飲み忘れ、かぜや過労、食事の影響などで心不全が悪化することもよくありますので、お薬をきちんとのんで細やかな生活管理を行うことが必要です。


肺塞栓症は、足の静脈などにできた血栓が、血液の流れにのって肺の血管までたどりつき、肺動脈が詰まって起こる病気です。長時間の旅行や手術の後など、下肢を動かさないでいる時に血栓ができやすく、突然の息苦しさで発症することが多いですが、徐々に息苦しさが増強してくる場合もあります。


タバコを吸っている方は、長い年月をかけて、肺や心臓などに様々な影響が生じます。代表的な病気が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)狭心症・心筋梗塞です。どちらも息切れが主な症状である場合があります。胸のレントゲン写真、肺機能検査、心電図などで診断していきます。もちろん、喫煙されていた方は、肺がんなど悪性疾患にも注意が必要です。

動悸

こんな症状がある方はご注意ください

・突然の動悸と一緒にめまいがしたり、気を失った(失神した)ことがある。
・胸のドキドキと一緒に胸痛や息苦しさがある。
・急に脈が速くなってどきどきする発作があって、急におさまった。
・脈が数えられないほど速い。
・家庭用の血圧計で測ったら、脈の数字がばらばらだった。
・脈拍数が毎分50回を切っていた。
・脈の間隔が一定でない。
・脈が飛んでいる。
・家族や親せきに突然死の方がいる。

不整脈から突然死や心不全、脳梗塞につながるものも。

動悸の原因として重要なのは不整脈です。不整脈には、脈が速くなる場合、遅くなる場合、乱れる場合があり、正確な症状の把握が診断にはまず大切です。不整脈だからといって全て治療しないといけないわけではありませんが、なかには突然死や心不全、脳梗塞につながるものもありますから、医療機関で診断をつけることをお勧めします。自覚症状があるときに心電図検査ができれば診断できますが、受診されたときには症状がなく心電図が正常である場合もありますので、ホルター心電図や携帯型心電図などの検査を行って診断します。


不整脈は、生活指導、薬物治療で症状がとれる場合が多いのですが、特に重篤な不整脈や症状の強い場合、高次病院に紹介して、カテーテルアブレーション(不整脈のもとになっている心臓の筋肉の一部をカテーテルで根本治療する)、ペースメーカーや植込み型除細動器の手術を受けていただくこともあります。


高齢化社会で重要となっている不整脈心房細動(しんぼうさいどう)があります。脈がばらばらになるタイプの不整脈で、自覚症状がある場合もない場合もあります。この不整脈が重要なのは、心房という心臓のお部屋の血液がよどむために血栓ができて、脳梗塞などの原因となるからです。そのため、血液を固まりにくくするお薬をのんでいただいて予防を行うことが大切です。ワルファリンというお薬を処方し、定期的に血液検査(PT-INR)の値をみながら分量を調整していきます。あるいは、ワルファリンと違って、細かな調整や食事の制限が必要ない、新しい抗凝固薬(DOAC)も用いています。

何度も心房細動の発作が起きてお困りの方の場合は、カテーテルアブレーションが可能な病院への紹介を積極的に行っております。

むくみ

こんな症状がある方はご注意ください

・すねを指で押さえると、へこんで指の跡が残る。
・顔やまぶたの周囲がはれている。
・首の血管が座っていても目立っている。
・むくんで短期間で体重が増加した。
・むくみとともに息切れが出現してきた。
・食事をするとすぐにお腹がはって沢山食べられない。
・片足だけがむくんで、ふくらはぎをつかむと痛みがある。

心不全の発見のきっかけとなる大切な症状です。

むくみ(浮腫)は、身体に水分が過剰にたまった状態を反映し、心不全の発見のきっかけとなる大切な症状です。特に息切れや息苦しさ、短期間での体重増加を伴う場合は注意が必要です。


身体に水分が貯留する原因には、心臓病のほかに、腎臓病、肝臓病、貧血など様々な原因があり、塩分の取り過ぎはむくみを悪化させます。水分が過剰にたまっている場合には、尿を出させるお薬を使うことで、むくみを改善させることができます。


一方で、甲状腺の病気などホルモンの異常のために、身体がむくんだり体重が増加する場合や、栄養状態が悪いためにむくみが出る場合もあります。また、下肢の炎症や静脈リンパの流れが悪いために局所的にむくみが出る場合や、お薬の副作用によるむくみ、座った姿勢や立ち仕事を長く続けているために起こる足のむくみもあります。このように、むくみ(浮腫)は、全身状態を総合的に判断して、診断し対処する必要があります。